喪に服す

静かな一日だ。

今日が終わっていく。

まだ嗚咽は止まらない。

だけど海は凪いでいる。

嵐はもうこない。

慣れないことをして、背伸びをして。

挙句の果てに転んで、転びに転び続けてやがて止まった。

全身傷だらけだ。

雨風にさらされ、傷口は乾くことなく、開いたまま。

真新しさを保っている。

この静けさなら、届くだろうか?

か細い僕の泣き声が。

この静けさなら、見えるだろうか?

弱弱しい僕の姿が。

僕がいた場所はこんなにも静かだったのか。

こんなにも遠い場所で、僕は息をひそめていたのか。

誰もいないじゃないか。

何もないじゃないか。

失うものなど始めから何もなかった。

そしてまた何も得ず、戻ってきたではないか。

墓前に供える花を摘まねばならない。

僕は何も持たずに帰ってきてしまったのだから。

ただ周りには何もない。

少しだけ歩いてみよう。

気晴らしも兼ねて。

さて、どこに向かって歩こうか?

ちゃんと帰り道を忘れないようにしなければ。

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