白虹貫日

叱られてしまった。

今はもう亡き人に。

恐ろしいほど澄んだ青い空。

すべてが吸い込まれそうだ。

冬支度を始めるそんな季節。

秋の晴天は優しい色で虚しい気持ちを吸い上げていく。

心のすべてを持っていてくれる。

残された抜け殻は冬支度を始める。

今年も来年まで持っていくものは何もない。

気楽でいいじゃないか。

気ままでいいじゃないか。

気の向くまま。

今年も時計の針だけを見つめ、月日を数える。

垂れ流されるだけの時間。

もう気に留める必要もない。

心をすり減らすこともない。

春になれば成就する。

それまでの辛抱だ。

否が応でも時間は喜びも悲しみも過去へと流し去ってしまう。

それに抗ったとて、それさえも過去のものとなってしまうのだ。

まだ未練があるのは百も承知だが、僕はようやく時間に身を委ね始めた。

絶対的な流れの中に再び身を投じた。

まだ時間が掛かるのかもしれない。

春になっても眠りから覚めてはいないかもしれない。

まだ抗っているのかもしれない。

だけど気付いたんだ。

僕の願いが叶ったとしても、この先に絶望や失望しかなくとも、そこに何ら違いがないことに。

無数に道は分かれていても、最後には一つとなる。

出口は一つしかない。

駄々をこねてもしょうがない。

叱られしまってもしょうがないだろう。

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