この世の果て

毎日淵を歩いている。

別に命を粗末にしたいわけじゃない。

僕は自分の意思とは関係なく、生きなければならないからだ。

生まれながらに背負ってしまったものを

人はそれを原罪だと言う。

人はそれを前世の業だと言う。

人はそれを与えられた試練だと言う。

そんなわけがない。

自分には何も関係がない。

自分の意思では生きていけない人生が？

原罪？　業？　試練？

馬鹿なことを言うな。

この世の果てまで行けば、教えてくれるのだろうか。

この世の果てまで行けば、神様に会えるのだろうか。

この世の果てまで行けば、僕は理解できるのだろうか。

人や社会の営みの中では僕は答えを得ることができない。

きっと生まれたことに意味はない。

生かされることにも意味はない。

もっともらしいことを言うだけで、

もっともらしい理由をつけて、

僕を黙らそうとしないでくれ。

納得させようとしないでくれ。

誰でもいいから、僕をこの世の果てまで連れて行ってくれ。

そしてそこに置いていってくれ。

嫌悪感にまみれた僕のお話を道中に聞かせてあげるよ。